魚との出会いⅡ

前回、「タナゴとの出会い」でスタートした思い出話ですが
タナゴだけに限らず「魚の出会い」が思い出として強く残っているので
タイトルを、「魚との出会い」で綴りたいと思います。
 
昭和40年後半、テレビでは仮面ライダーウルトラマンが流行り
ワクワクしながら食い入るようにテレビを見ていた「まーちゃん少年」は
あの、仮面ライダーの変身ベルトが凄く欲しいアイテムのひとつでした。
 
当時はおもちゃ屋と言っても、スーパー「当時はスーパーとは言って無かったような!?」
の中にある「おもちゃ屋」で、燦然ときらめく「仮面ライダー変身ベルト」が飾られて
いました。
無論、簡単に買ってもらえる代物でもなく、夢だけが続く日々でした。
 
そんな或る日、「何かの臨時収入が有ったようで!!!」
 
「変身ベルト買ったる!!」
珍しく親父が、気持ち悪い事を言い出しましたよ!
 
でも、夢かなうと思い、スーパーに行ったんですが、親父が買ってくれた
変身ベルトは「あの、風車の部分が電池で回り、ピカピカと光る」
本物そっくりのベルトでは無く、中心部がシールで風車の絵になった
似て非なる「変身ベルト」でした。。。。。。。
 
当時、子供ながらに感じた事は 「安物買いの銭失い。。。。」と言う言葉だったような。。。。
 
 
 
そんな、まーちゃん少年 何時ものように学校から帰宅して近所の悪ガキ連中と
何時もの、河川敷へと。。。。。
 
河川敷と言っても今のような、整備された河川敷公園では無く、淀川両岸の河川敷は
葦や萱で埋め尽くされた、広大な場所でした。
 
悪ガキ連中集まると、やはり毎度のように、「秘密基地」が作られ
葦を踏み倒し、ぽっかりと空いた空間に、これまた何処からか拾って来た
ダンボールを広げ、さながら「俗世間とは切り離された異空間」に
いる雰囲気を楽しんでいるのでした。。。。。。
 
しかし悪ガキ連中 どこから拾ってくるのか必ず、エッチな本を見つけて来てました。
 
何故かしら、「河川敷」にはエッチ本が落ちていたんですね!・・・・・不思議です。
 
そんな秘密基地の近くには2本の川幅5m程度の河川が有り、底は砂地で
水深も50センチ程度、ところが片一方の源流を奈良とする河川は
常に安定した水が流れ
もう片方は、何時も干乾びている河川で、そこから本流に流れ込む
川だったんです。
 
ところが、この干乾びた河川には所々、水溜まりが有り
その水溜りには多くの魚が残っているんです。
 
ほんと、風呂桶一杯程度の水溜りには一掬いの網で
真っ黒になるほど、「コイ、フナ、ハヤ、ウグイ、モロコ」等などが
タップリ掬えるんですよ!
 
子供達の不思議な思いは、何故乾いている川に水溜まりが有り
魚がこんなに残っているんだろう。。。。。!???
 
そこから上流に上る、探検が始まったのです。
 
 
「まーちゃん! この上流どうなってるんやろ!?」
 
「多分、どっかから水は流れて来てると思うんやけどなぁ~」
 
「皆もこの上流知らんのやろか?」
 
「誰も、上に行った者はおらんでぇ~」
 
 
暫く、上流へ上がると底にはブロックの入った広いプールが
目の前に現れました。
水深は1m程度と思われます。
更に、プールから右90度コンクリートの水路が設けてあり
両横は石積みの2m程ののブロックになっており
目の前には大きな、水門が口を空けておりました。。。。。。
 
 
その日は、ポイントを確認しただけだったのですが
やはり、私を含め悪ガキ連中の思いはその水門の中は
如何なっているのかが、凄く気になっていたのでした。
 
 
「まーちゃん! この間のポイント有るやん!」
「あそこの奥を見に行ってみいひんか!??」
 
やはり、考える事は同じようです。。。。。
 
「よし!! 今日はあの中を散策してみよう!!」
 
学校では何人か、集まるはずだったのですが、その水門前には
私と、もう一人の「言いだしっぺ」のみ!!!
 
「よし! 入ってみよう!!  水門広いし、この大きなゲートは何時も開きっぱなしやで」
 
全然、根拠は無かったのですが、水門空きっぱなしと言う事はとりあえず
その門が開いていて水が出てないのだから大丈夫だろう!??と言う思いだけでした。
 
「まーちゃん  うすくらいけど水無いなぁ~」
 
水門からはコンクリートで舗装されてゴミも砂も無い状態
もちろん薄くらいのですが、僅かにトンネルに置くには光が差し込んで見えております。
 
「とりあえず、あの光の場所まで行ってみよう!!」
 
水門からおよそ、150m程度だったと思うのですが、その光の場所は
直径10m程の円筒形の天井がポッカリと空いた場所で
円筒形部だけが、水が溜まっています。
 
光に照らされているので水の様子もよく解り、水深は30cm程度
しかも光に照らされた水の中には、「ギラギラ」と無数の魚が
泳いでいますよ!!
 
「おおおっ!!! こんな場所が有ったんや!!」
 
二人で無心にタモを振り回します。。。。。
 
入る、入る!!!   もって来たバケツの納まらない程の
魚が見る見る掬えますよ!
 
「凄いとこ 見つけたなぁ~!」
 
「うん まーちゃん ここは皆に内緒やなぁ~」
 
 
少し、気になるのが、その円筒形の場所から右に90度振った所にも
水路は続いており、そこは完全に闇夜の世界となっています。。。。。
 
 
暫く、魚の乱舞を楽しんで、バケツの獲物を二人で見ている時でした。。。。。。。
 
 
・・・・・・・・・・・・・・
 
 
うん!・・・????
 
 
なんか、奥で音がしなかった!??
 
 
確かに、何か金属的な音がしたような。。。。。
 
 
少々 びびりながら、音のするその闇夜のトンネルを凝視して
いましたよ!!!
 
すると、また 金属的な音がハッキリと。。。。。。。
 
 
・・・・・・・・キィ キィ キィ!!!!
 
 
明らかに、何か金属が動く音が・・・・・・・・・・・・
 
 
すると、その金属の音に混じり、ザワザワと押し寄せる音が!!!!!!!!
 
 
闇夜のトンネルを二人で凝視しています。
 
その時には既に、両手には脱いだ靴を二人とも掴んでますよ!
 
 
暗くて解り難いんですが、白い何かが トンネルの床面を滑って来ます。。。。。
 
 
わぁああああ・・・・・!!!!!!!」
 
 
おぼろげに見えた正体は、水です!!!
 
しかも、白波を立てて、今居る 円筒部分に差し掛かっております!!!
 
 
「やばい  逃げろぉ~!!!!」
 
 
二人で、今来た150mのトンネルを、普段では考えられない
スピードで走り抜けております。
 
もう一人も普段は足の遅い奴なのですが、殆ど並走しておりますよ!!
 
 
先ほどの明かりのある、プールと水門の横にある石垣が見えて来ました。
二人とも後ろを振り返る余裕など全く無し!!
 
 
「石垣を駆け上れ!!!!」
 
 
靴は履かずに、左右の手に差し込んだ状態で、裸足で石垣を駆け上ります。
 
 
駆け上ると同時に、水門から信じられない勢いで水が飛び出して来ました。
 
 
ふぅー!! 助かった!!
 
やばかったなぁ~!!
 
二人とも、半笑いですけど完全に足は震えております。。。。。。
 
よく見ると、水門から激流に乗って先ほど、タップリ魚をいれた
青いバケツが流されて行きます。
 
そのバケツを見て、二人からは半笑いの笑顔も無くなり
青褪めていましたよ!!
 
 
それからは、そのポイントの事もそこで起こった出来事も
二人、言い合わせた訳では無かったのですが口にする事も無く
封印されていったのでした。
 
 
いま思い出しても、ちょっと怖いんですけどねぇ~!
 
 
今まで「危機一髪」と感じたのはコレが最初で最後だったかも!?
 
 
また、次回「魚との出会いⅢ」で違った話を書きたいと思います。。。。。